改正された「THP指針」の内容・企業における推進法を紹介

職場の健康づくり計画「THP」をご存知でしょうか。

THPとは、健康の保持増進に関する活動を計画・実施することであり、健康経営の観点からも注目を集めています。

本記事では「THPとは?」というところから、近年(2020年・2021年)の改正内容等を紹介いたします。

*「健康経営®」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です

目次[非表示]

  1. 1.THPとは?企業における推進の必要性とメリット
    1. 1.1.THPとは「トータル・ヘルスプロモーション・プラン」のこと
    2. 1.2.企業がTHPを推進することの必要性とメリット
  2. 2.〈2020年・2021年〉THP指針改正の要点​​​​
    1. 2.1.2020年:THP指針改正の要点
    2. 2.2.2021年:THP指針改正の要点
  3. 3.THPの効果的な推進法と実務
    1. 3.1.THPの進め方~職場の課題把握を通じた計画~
    2. 3.2.THP推進の実務


THPとは?企業における推進の必要性とメリット


THPとは「トータル・ヘルスプロモーション・プラン」のこと

THPとは、トータル・ヘルスプロモーション・プラン(Total Health promotion Plan)の略称で、働く人の心身の健康づくりを目指し、企業が取り組む計画のことです。

THPは、高齢労働者向けの健康保持を目的としたSHP(シルバー・ヘルス・プラン/1979年に誕生)を前身としています。

そして1988年、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針(いわゆるTHP指針)」に基づく健康づくりを推進する取り組みとなりました。

また、THPも指針の策定から30年以上が経過し、産業構造・働き方の変化や労働者の高齢化等を踏まえ、事業場における健康の保持・増進対策がより一層推進されることをめざし、2021年には見直しがされています。

近年では、健康経営を推進するための基本計画として、THPを採り入れている企業もあります。


企業がTHPを推進することの必要性とメリット

次に、企業がTHPを推進することの必要性についてです。

「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」によれば、メタボリックシンドロームが強く疑われる者とその予備群は男性で約2人に1人、女性では約5人に1人の割合とされているのです。

また、仕事に関し強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移していること等が挙げられ、THP推進の必要性が記載されています。

THPを推進することで、活気のある職場をつくることが出来るといわれています。

職場の環境改善は、生産性の向上や休職・離職・労災の防止、医療費の減少など、企業にとって数多くのメリットがあるのです。

職場において心身の不調があらわれてから二次予防に注力することも大切ですが、産業保健では一次予防の観点から不調を防ぐことが重要になります。

THPを適切に推進し、一次予防に取り組むことで健康経営を目指しましょう。


〈2020年・2021年〉THP指針改正の要点​​​​


2020年:THP指針改正の要点

上述したように、発出から30年以上が経過したTHP指針は社会情勢の変化等を受け、2020年には内容が改正されています。

2020年の改正では、集団へのアプローチが重要視される内容となっていることがトピックです。

それまでは労働者個人に対する健康の保持増進措置がメインとされていましたが、事業場や部署といった、共通の課題を有する集団を対象にした取組みが重要視されるようになりました。

また、すべての労働者に対して画一的な措置を行うのではなく、企業や事業場の特性(業務内容等)に合わせた健康保持増進を検討・実施することが求められています。

その他、健康の保持増進に関する活動項目の明確化等、取組みの規定について見直されています。

事業場の健康課題を把握し、より効果的な健康保持増進の措置をとることが重要であるとされています。


2021年:THP指針改正の要点

2021年には、データヘルス・コラボヘルスの推進に向けた健康データの取り扱いに関する改正がありました。

内容としては、医療保険者に義務付けられている特定健康診査・特定保健指導の実施に際し、労働者本人の同意がなくとも健康記録の写しを提供することが可能になっています。

これにより、企業と医療保険者が連携した健康保持増進活動の推進が期待されています。

また、マイナポータルを利用することで、労働者が自らが特定健康診査の情報等を閲覧することが可能となりますので、健康活動に取り組む「セルフケア」の一助となることが考えられます。

最近では、コラボヘルスへの関心が高まるのと同時に、既存の計画を見直す企業も増えてきているようです。


THPの効果的な推進法と実務


THPの進め方~職場の課題把握を通じた計画~

THPを推進するにあたり、2021年に改正された指針の中にて、厚労省は以下6つの項目を定めています。

  1. 健康保持増進方針の表明
  2. 推進体制の確立
  3. 課題の把握
  4. 健康保持増進目標の設定
  5. 健康保持増進措置の決定
  6. 健康保持増進計画の作成
  7. 健康保持増進計画の実施
  8. 実施結果の評価

この項目を見ていくと、まずは事業者が健康保持増進に関する方針を表明し、事業場内に体制を確立します。

次に、事業場の抱える課題を把握しますが、その際には労働者の健康管理情報がベースとなります。

その上で、課題を解決するための目標と措置に関する計画を組み立てます。

健康保持増進の計画を実施した後は、結果の評価を行うことも重要とされています。


THP推進の実務

健康保持増進計画の内容は慎重に定めましょう。

実現が困難な計画内容では、職場の健康課題の解決につながらない恐れがあるため、職場の状況を適切に把握した上で、計画を立てることが肝要です。

また、THPの推進では衛生委員会等の場を活用し、従業員からの意見を汲み上げること、そして、衛生管理者や産業医といった事業場内のスタッフが連携することも大切になります。

産業保健総合支援センター等の外部専門機関の活用で、THPの推進をより効果的なものにすることが期待できます。

サンポナビ編集部

サンポナビ編集部

企業の産業保健を応援する『サンポナビ』編集部です。産業医サポートサービスを提供している株式会社エムステージが運営しています。 産業医をお探しの企業様、ストレスチェック後の高ストレス者面接でお困りの企業様は、ぜひお問い合わせボタンからご相談ください。

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