トヨタが産業医を積極採用。求める人材像・研修制度・キャリアアップについて聞いた
記事の内容は取材当時(2020年11月23日)のものです。
最新情報についてはトヨタ自動車株式会社の公式ホームページ等にてご確認ください。
トヨタ自動車株式会社が、株式会社エムステージの転職支援サービス「Dr.転職なび」を利用し、産業医を積極採用しています。
トヨタの求める産業医の人材像、研修制度やキャリア形成などについて、同社の安全健康推進部 産業医学グループの七浦広志先生と澁谷亮先生にお話を伺いました。
トヨタが求める産業医の人材像とは
トヨタ自動車株式会社 産業医の七浦広志先生(右)と澁谷亮先生
●プロフィール
・七浦広志 先生
2014年トヨタ自動車入社、現在産業医学グループ長
愛知医科大学卒業
愛知医科大学助手、国民健康保険坂下病院、岐阜社会保険病院泌尿器科部長、在宅医療部長を経て現職。産業医科大学非常勤講師、認定産業医、健康スポーツ医、日本産業衛生学会評議員・東海地方会理事、他に日本泌尿器科学会評議員、専門医、日本プライマリケア学会認定医、指導医、卒後臨床研修指導医、厚生労働省委託母性健康管理研修会講師、「今日の治療指針」執筆など
・澁谷亮 先生
医師/医学博士/日本病理学会病理専門医
産業医科大学卒業、産業医科大学大学院医学研究科障害機構系専攻博士課程(第1病理学)修了。病理学研究、病理診断に従事後、2015年トヨタ自動車に産業医として入社。現在は同社高岡工場専属産業医を務める。
■現在、トヨタ自動車株式会社(以下、「トヨタ」といいます)では産業医の人材を募集されていますが、求める産業医の人材像についてお聞かせください。
七浦広志先生:トヨタの理念に賛同してもらえること。そして、広い視野を持ち、どんなことにも前向きにトライする勇気を持った産業医の先生を求めています。
トヨタフィロソフィーでは、トヨタのミッションを「幸せの量産」と定義しております。
幸せを量産するためには、従業員の健康が土台となります。
私たちのいる健康支援センターウェルポの入り口にも、当社のトップ、豊田章男社長の『健康宣言』のモニュメントが建てられています。
「ウェルポ」の入り口にある健康宣言のモニュメント。そこには「バッターボックスに立ち続けるためには 健康な心と体づくりから」という、豊田章男社長からのメッセージが刻まれています。
■「広い視野」について教えていただけますか。
七浦広志先生:トヨタには数多くの事業場があり、それぞれに特長があるため、広い視野が必要になります。
産業医には、各事業場の特長を活かした活動に取り組んでいただくことが求められます。“企業全体の施策”を見ることも大切です。
具体的には、各事業場の産業医が自分だけではなく「先生のところはどうですかね?」と、様々な産業医の意見を取り入れ判断できる、こうした視野の広さです。
そして、他の産業医と一緒になって活動のガイドラインを構築していただける方を求めています。
■「トライする精神」についても教えてください。
七浦広志先生:ひとことで言えば「私は従業員の健康のためにこうしたいんだ」という意欲や熱意のことです。
トヨタでは「人間力」と「実行力」を尊重しています。
もちろん、今はそういったものを持っていなくても「そうなりたい」と考える前向きな気持ちを持っている方を求めています。
また、育児や介護といった家庭の事情等をお持ちの方でも問題ありません。
「家庭の事情で時々休まなければならない、それでもトヨタの仕事を通じて社会とつながりを持ちたい」という方であれば、当社には多様な働き方とバックアップ体制がありますので、ぜひチャレンジしていただきたいですね。
トヨタの持つ強力なバックアップ体制。産業医の働き方と教育制度
■働き方とバックアップ体制について詳しくお聞かせください。
七浦広志先生:一般的に、企業の専属産業医であれば「私は休めない」というプレッシャーがあると思います。トヨタでは休みをとってもバックアップできる働き方を取り入れています。
もし急に「明日休まなければならない」といった状況になったとしても、短時間で翌日の人員は確保できるのです。
というのも、トヨタの事業場のほとんどが愛知県内に集約しており、距離的にも近いため、補完することが可能です。また、場合によってはオンラインでも業務を行えますからね。
健康を支えるトヨタの体制については、常勤(週5日勤務)の産業医が16名、非常勤(~週4日勤務)の産業医が54名在籍しています。
そして、看護師が約80名、保健師は約70名おり、その他にも臨床検査技師が20名、放射線技師34名、という体制が構築されています。
■産業医の教育制度についてお聞きしますが、入社後はどのような研修のプログラムがあるのでしょうか。
七浦広志先生:入社される方の産業医としての経験にもよりますが、入社後1~2年ほどは、産業医の職務について学んでいただくと同時に「トヨタの社員」としての教育を受けます。
その後、健康診断や長時間面接などの判定といった、フィジカルの健康相談から携わっていただき、その後メンタルヘルスの面談などに移っていただきます。
また、先輩産業医に同行し、職場巡視等をOJT(On-the-Job Training)で学んでいただくのです。
専属産業医が職場巡視でどのような点に注意しているか、従業員とはどのようなコミュニケーションを取り、信頼関係を築いているのか、といった活動をOJTを通じて肌で感じていただきます。
各種の判断が一人でできるようになれば、事業場の産業医として配属されます。
■事業場を任されたら「一人前」ということですね。
七浦広志先生:そうです。
ただし、事業場の健康管理すべてを産業医に任せるわけではなく、トヨタではここでも産業医の活動をバックアップしています。
例えば、もしメンタルヘルス不調者の休職・復職の判断が必要になった場合に、担当の産業医が一人で判断するのではなく「職場復帰判断検討会」という全体の会議で判断します。
この会議では、複数の産業医から出てくる様々な意見を取り入れながらジャッジを行い、最終的な判断をみんなで行います。
産業医としての経験の浅い先生であれば、様々な判断に迷ってしまうケースもあると考えられますが、トヨタは「一緒に考えよう」というスタンスなのです。
会議を通じて、先輩の様々な意見や対応法を知ることができるので、素早いスキルアップにもつながるのです。
「トヨタでしか経験できないこと」がある。それが大きな魅力
■実際に産業医として勤務されて、どのような感想をお持ちですか。
澁谷亮先生:ひとつの事業場を任されるようになると、自然と任される裁量も増えます。
それと同時に、産業医としてただ健康を管理しているだけでなく、トヨタという「チームの一員」として携わっている感覚が生まれました。
会社の考えや方向性を理解し「産業医として、チームの一員として求められているものは何か?」ということを意識しながら活動する姿勢があれば、自然とスキルが身に付く環境です。
また、トヨタはとても柔軟性のある会社ですから、産業医としてのマネジメント力も学ぶことができるので、企業の統括産業医を目指す方にも最適だと思います。
■トヨタでは、産業医としてどのような経験を積むことができるのでしょうか。
澁谷亮先生:トヨタには約8万人の人の従業員がいます。
この人数は日本の企業としては最大規模ですので、言い換えれば「他ではできない経験」がトヨタではできるわけです。
例えば、健康に関するデータも、数万人分のものが数十年前から蓄積されているので、こうした国内最大の健康データを活用して研究することもできます。
その他にも、海外拠点を訪問し、現地の医療や生活を見ることができる研修もあり、学習機会が数多く用意されていますので、向上する意欲があれば、その材料には事欠かないというのが「トヨタの産業医」にしかできない経験だと思います。
「トヨタの産業医」という経験を通じて得られるキャリアと「やりがい」
■トヨタで働く産業医のキャリアについてお聞きかせください。
七浦広志先生:トヨタの産業医には、様々な経歴を持った方がいます。
かくいう私も、2014年にトヨタに入社するまで産業医の活動はほとんどやっていませんでした。
しかし、今まで臨床医師として積み重ねてきたものを「産業医になったから」とすべて無しにしてしまうわけではなく、そこを強みに変えられる。そして、セカンドキャリアとしてそれまでの経験を活かせるのがトヨタの良いところです。
ただ、挑戦する気持ちを持ち続けることが大切で「何年かけてこれを成し遂げたい」という明確な目標が必要です。
トヨタはそういったキャリア設計や将来設計を応援する企業であり、その環境があります。
■最後に、トヨタ産業医として「やりがい」を感じる瞬間について教えてください。
七浦広志先生:トヨタは従業員数約8万人という、日本最大の企業です。
これだけの大所帯ですので、素早い動きをするのは難しいかもしれませんが、組織全体がグッと一気に動くことがあります。
それは、私たち産業医や従業員の発信した“信念”や“熱意”といったものが全社員に通じ、賛同を得た瞬間に訪れるのです。
トヨタという巨大な企業全体が、自分の意見に同調して「いいね」と一斉に動く。こんなダイナミックな経験ができるのがトヨタの魅力だと思いますし、とても大きなやりがいになります。
冒頭でも話しました「幸せの量産」の現場を見ることができるのが、トヨタの産業医として働くことの大きな魅力です。
「トヨタの産業医として働きたい」とお考えの方は、ぜひチャレンジをお待ちしています。
求人の詳細はこちらから(「Dr.転職なび」のページに移動します)