従業員満足度とは?エンゲージメントとの違いやメリット、アンケートの作り方を解説!
企業成長を維持するためには、エンゲージメントだけではなく、従業員満足度を向上させるための取り組みが欠かせません。
この記事では従業員満足度について、エンゲージメントとの違いやメリット、アンケートの作り方について解説します。
従業員満足度の向上を図り、企業成長を目指した場合は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.従業員満足度とは
- 2.従業員満足度が向上するメリット
- 3.従業員満足度の高い企業が取り組んでいること
- 3.1.企業理念の浸透
- 3.2.人材配置の適正化
- 3.3.評価制度の適正化
- 3.4.健康経営への取り組み
- 4.従業員満足度を調査するためのアンケートの作り方
- 4.1.二要因理論をもとに質問内容を設定
- 4.2.アンケートの構成と設問例
- 4.2.1.基本情報に関する設問
- 4.2.2.動機付け要因についての設問
- 4.2.3.衛生要因についての設問
- 4.2.4.総合評価についての設問
- 5.従業員満足度の向上は企業成長に役立つ
従業員満足度とは
「従業員満足度」とは、従業員が自分の仕事や職場環境、同僚との関係、給与、福祉などに対してどれだけ満足しているのかを示す尺度です。英語では「Employee Satisfaction」と呼ばれ、略して「ES」ともいいます。
従業員満足度とエンゲージメントの違い
従業員満足度は職場の労働条件や環境、人間関係などに対する従業員の満足度を示します。
それに対してエンゲージメントは、従業員がどれくらい積極的に会社に貢献したいと考えているのか示す度合いです。従業員の行動に焦点を当て、彼らが会社でどれだけ熱心に働いていて、自分の仕事に真剣に取り組もうとしているかを評価します。
従業員が企業や職場の同僚などとの関係に価値を感じていれば、エンゲージメントも高くなる傾向です。またエンゲージメントは従業員のモチベーションや努力にも影響し、会社に対する忠誠心や貢献意欲を示す指標ともいえます。
エンゲージメントについて詳しくは、下記を参考にしてください。
従業員満足度が向上するメリット
従業員満足度が向上するメリットは、次のとおりです。
- 業績の向上
- 人材の確保
- 顧客満足度の向上
それぞれについて詳しく解説します。
業績の向上
従業員満足度の向上により、従業員が高いモチベーションを持つと、積極的に仕事に取り組むため、それが会社の業績向上につながります。
さらに意欲的な従業員が多い職場ではコミュニケーションが活発になり、互いの連携も強化されるため、新規事業やイノベーションが促進される点も魅力です。新規プロダクトの開発や業務効率化などの好循環を生み出します。
人材の確保
従業員満足度の高い会社は、転職を考える従業員が少ないため、離職率を低く抑えられます。既存の人材確保が容易になり、新規採用にかけるコストや時間を削減できるでしょう。
また、会社の労働環境に魅力を感じた従業員は、友人や知人に会社で働くことを勧めてくれるかもしれません。このようなリファラル採用が増えると、求人広告のコストを削減しつつ、優れた人材を獲得できるようになります。
顧客満足度の向上
従業員満足度が向上すると、従業員の会社への帰属意識やエンゲージメントが高まるといわれています。
会社のプロダクトに対する思い入れも強くなり、よりよい商品やサービスを生み出そうとする意欲が増します。その結果、商品を受け取ったり、サービスを受けたりした顧客の満足度向上が期待できるでしょう。
顧客のニーズを詳細に分析して、プロダクトに改良を加え、顧客に寄り添ったソリューションを提供しようとする姿勢を育めます。
従業員満足度の高い企業が取り組んでいること
従業員満足度の高い企業は、主に次のような施策を講じています。
- 企業理念の浸透
- 人材配置の適正化
- 評価制度の適正化
- 健康経営への取り組み
各項目について解説します。
企業理念の浸透
従業員に対して企業理念を浸透させると、従業員満足度の向上が期待できます。
企業理念の浸透は、従業員による会社への共感や熱意を育む重要な要素です。企業理念に共感する従業員は、会社に誇りを持ち、信頼度が高まり、自発的な貢献を意欲的に行います。
ただし、企業理念への共感を従業員に強制することは逆効果なので、自発的な共感を促すようにしましょう。
そのためにも、会社のリーダーは企業理念を明確に示し、従業員の働き方とどのように結びつくのかを丁寧に説明することが大切です。
人材配置の適正化
人材配置の適正化を図ることで、従業員が自分に合った働き方をできていると感じたり、自分の能力を活かせたりすると、従業員満足度が向上します。
従業員満足度の向上につながるような人材配置を図りたい場合は、ジョブ型雇用を採用するのも1つの手段です。ジョブ型雇用とは、人材のスキルや実務経験に応じた人材配置を前提とした雇用のあり方で、昨今は採用企業も増えています。
パーソナル総合研究所の調べでは、半数以上の企業が導入済みあるいは導入を検討しているとの結果でした。従業員の満足度を高める施策の1つとして、ジョブ型雇用を採用するのも選択肢のひとつといえるでしょう。
評価制度の適正化
評価制度の適正化は従業員満足度の向上だけではなく、健全な組織作りにも役立ちます。評価制度の適正化を図る場合は、基準の透明性を高め、評価者によってばらつきがでないようにしましょう。
評価基準が不明瞭であったり、評価者の価値観で評価にバラつきがでると、従業員のなかで不公平感が生まれ不満の原因になります。
従業員が納得できる評価制度にするためにも、できる限り数値データを用いて客観的に評価できる仕組みづくりをすることが大切です。
健康経営への取り組み
従業員満足度の向上につながる主な健康経営への取り組みとして、個人の健診結果や生活習慣の改善などが考えられます。これらの改善を図ることで、アブセンティーズムやプレゼンティーズムの解消が期待できます。
アブセンティーズムとは、病気を抱えて仕事を休んでいる状態で、プレゼンティーズムは病気を抱えながらも仕事を続けている状態です。両者を解消すると、従業員満足度の向上という組織全体の効果として現れます。
昨今では健康経営につながるような福利厚生の充実を図る会社が多くなりました。たとえば従業員のスポーツジム利用を補助したり、人間ドックなどの医療費を補助したりする会社もみられます。
健康経営に取り組む場合は、健康経営優良法人に申請して、企業ブランディングに役立てるのもおすすめです。次の記事では、健康経営優良法人2024の申請方法などについて詳しく解説しているので、参考にしてください。
従業員満足度を調査するためのアンケートの作り方
従業員満足度を調査するためのアンケートを作る場合は、二要因理論をもとに質問内容を設定するとよいでしょう。具体的な設問例も紹介するので、参考にしてください。
二要因理論をもとに質問内容を設定
二要因理論とは、フレデリック・ハーズバーグ氏が提唱する理論で、「満足度を高める要因(動機付け要因)」と「満足を低下させる要因(衛生的要因)」は別物という考えをもとにした理論です。
動機付け要因とは
動機付け要因とは、興味関心や責任権限、昇進、達成、承認などの仕事をする動機となる要因のことです。動機付け要因が満たされると、従業員のモチベーションや生産性の向上が期待できます。
衛生的要因とは
衛生的要因とは、動機付け要因とは異なり、仕事へのモチベーションややる気にはあまり影響を与えない要因です。たとえば、経営方針や管理体制、人間関係、給与待遇、安全性、福利厚生などの要因が考えられます。
しかし衛生的要因に対する不満が出たり、施策が不十分だったりすると、従業員満足度が著しく低下して、離職や休職につながる可能性があるため注意が必要です。
アンケートの構成と設問例
アンケートの構成は次のようにするとよいでしょう。
- 基本情報に関する設問
- 動機付け要因についての設問
- 衛生要因についての設問
- 総合評価についての設問
各設問について具体例を交えて解説します。
基本情報に関する設問
基本情報に関する設問例は、下記のとおりです。
- 性別を選んでください(任意)
- 年齢(年代)を記載してください
- 所属部署・役職を記載してください
- 入社年を記載してください
各項目について可能な範囲で選択式にすると、従業員が回答しやすくなります。
動機付け要因についての設問
動機付け要因に関連したものには、次の設問が考えられます。
- 現在の仕事にやりがいはあるか?
- 現在の仕事に対して強い興味・関心があるか?
- 現在の仕事に価値や意義を感じているか?
- 現在の仕事が社会や顧客の役立っていることを実感しているか?
- 仕事内容が自分に適しているか?
- 自分の考えで仕事をできてるか?
- 自分の仕事に対する評価に満足か?
- 仕事を通してスキルや能力を獲得できているか?
- 現在の仕事が自己成長につながっているか?
- 仕事に関連した目標を持っているか?
可能な範囲で1~5段階の評価形式で回答できるようにすると、集計結果についてより細かな分析が可能です。
衛生要因についての設問
衛生要因についての設問例は、次のとおりです。
- 業務の内容や成果に対して相応な給料をもらっているか?
- 労働時間は適切だと感じるか?
- 人事制度や人事評価のやり方に納得しているか?
- 従業員の能力開発やキャリア形成に対して会社が十分に取り組んでいると感じるか?
- 職場内の情報共有やコミュニケーションが円滑に行われているか?
- 業務の合間のリフレッシュに利用できる場所や設備があるか?
- 法令を遵守して健全に業務プロセスが遂行されていると感じるか?
- 法令遵守のための教育や管理が徹底されていると思うか?
衛生要因についての設問は、会社の方針に関することや職場環境、労働条件、ワークライフバランスなど多岐にわたります。
総合評価についての設問
総合評価については、次の設問が考えられます。
- 現在の職場における働き方に満足しているか?
- この会社で働いていることを誇りにしているか?
- 家族や友人に、この会社で働いていることを自信を持って話せるか?
- 将来的にも、この会社で働き続けたいか?
従業員満足度の向上は企業成長に役立つ
従業員満足度を向上させると、会社の業績向上や人材の確保、顧客満足度向上などのメリットがあり、企業成長につながります。まずは従業員満足度調査を行い、現在どれくらいの満足度にあるか把握してみてはいかがでしょうか。
その上で、企業理念の浸透や人材配置および、評価制度の適正化、健康経営への取り組みで従業員満足度の向上を目指してみてください。今回はアンケート設問の具体例を示しながら、作成方法についても解説しましたので、ぜひ参考にしてください。