〈認定企業に聞く〉健康経営優良法人「ブライト500」取得の要点とは

健康管理アプリを開発・運営する株式会社リンクアンドコミュニケーション様は、社員の健康管理についてさまざまな施策に取り組んでいます。

その結果、健康経営優良法人 中小規模法人部門の中でも上位の認定である「健康経営優良法人(ブライト500)2021」、「健康経営優良法人(ブライト500)2022」を受けています。

健康経営の推進、また活動内容について、同社にインタビューしました。


自社サービスの活用を通じて健康経営を推進

はじめに、貴社の事業内容や社員数等について教えていただけますか。

当社は、AI健康アプリ「カロママ プラス 」をはじめとしたプロダクト開発およびサービスの運営を行っている、ヘルステック企業です。

「カロママ プラス」は、ユーザーが記録した食生活や運動習慣について、パーソナルAIコーチ「カロママ」がアドバイスや提案をするアプリで、一人ひとりの健康課題の見える化と課題解決に向けたサポートをするサービスです。

現在は6,000社以上の法人にご利用いただいており、そのうち70社が健康経営優良法人2022を取得されているなど、健康経営に取り組む企業や健康保険組合を支援しています。

当社の社員数は40名程度で、平均年齢は41歳です。社員の中には管理栄養士や保健師等の有資格者もおり、サービスの開発にも携わっています。


日常的な健康管理についてはどのようにされていますか。

日常的な健康管理については、自社サービスである「カロママ プラス」を活用して取り組んでいます。

「カロママ プラス」は、食事・運動・睡眠等の記録を行うことで、AIが食生活や運動習慣について改善策やアドバイスをフィードバックする機能があります。

そのため、社員一人ひとりの健康管理やセルフケアが可能です。また、アプリ内に健康コラムや運動の動画も届くので、ヘルスリテラシーを向上させることにも寄与しています。


メンタルヘルスの面では、どのような取り組みをされていますか。

当社は社員数が50名未満のため実施の義務はありませんが、年1回ストレスチェックを実施し、課題があれば把握できるようにしました。

また、コロナ禍によってほとんどの社員が在宅勤務を行うことになりましたので、ミーティングやコミュニケーションの機会を増やすなどの対策をしました。

離れて働いているからこそ、日頃のコミュニケーションは大切にしたいと考えたのです。

具体的には、業務用に導入していたチャットシステムに雑談ができるチャンネルを設けることで、気軽にコミュニケーションがとれる環境をつくりました。

他にも1週間に1回、全社員がオンラインで集まる会議を設定したり、メンタルヘルスに関する不安がある場合は相談できる窓口を設けるなど、社員のメンタル保全を考えた施策をしています。


その他に取り組まれていることはありますか。

女性の健康課題、感染症拡大防止に関する活動にも取り組みました。

女性の健康課題についても「カロママ プラス」を活用しました。

「カロママ プラス」には健康課題別にコースが設定できる機能があり、低栄養対策や妊産婦向けのコースがあるため、女性社員が各個人で健康促進に取り組むことも可能になっています。

また、感染症対策については、就業時間中にワクチン接種を可能としたことや、リテラシー向上を目指した研修を実施しました。

その上で、手洗いやうがいといった感染症予防の推奨や情報を、「カロママ プラス」のメッセージ配信機能を用いて発信。これらの取組みをBCP(事業継続計画)の策定にも活かしています。

このように当社では、自社サービスをフル活用して、健康経営に取り組んでいます。


健康経営優良法人「ブライト500」認定に向けた活動内容とは

「カロママ プラス」には、チームで健康活動に取り組める仕組が用意されている。

「ブライト500」を取得するにあたり、どのような体制で活動に取り組まれていますか。

当社は従業員数40名程度の会社ですので、健康経営推進に関する専属の担当者はおりません。

よって、担当者は2名おりますが、通常の業務を行いながら健康経営を推進しています。


健康経営を推進する上で課題に感じられていたことなどがあれば教えてください。

1つは、人的リソースの問題です。前述した通り、健康経営推進の担当者も通常の業務を行いながら対応しているため、担当者だけでは手が回らないです。

もう1つは、全従業員が参加できる施策を企画・検討する必要がある点です。

当社は、オールフレックスかつリモートワーク推奨と「自由な働き方」ができます。

その分、生活パターンも多岐に渡るため、健康施策を検討する上では、その点を考慮する必要がありました。


課題解決に向けた取組み内容についてお聞かせください。

社員を施策の企画段階から巻き込むことで、解決しました。

例えば、実業務でアプリの活用促進をしているチームに企画検討を依頼したり、全社員参加の会議の中で健康施策に取り組むために協力してほしい旨をアピールしました。

このようにして、社員全員が当事者意識を持って協力してくれる雰囲気をつくるようにしました。

また、「カロママ プラス」で実現できる施策を中心に企画することで、様々な働き方や生活パターンに対応させることもできました。


「ブライト500」認定に向けて、注力したことは何ですか。

ブライト500の認定要件は、①健康課題の把握、②健康的な職場づくり、③健康づくりの3つの要素がありますが、①の課題の把握をしっかり行い、優先順位を付けて取り組むことが特に重要だと考え、注力しました。

まずは、「カロママ プラス」を用いて社員の生活習慣を分析しました。

様々な課題はあるものの、その中でも、身体活動量が少ない点が際立っており、約40%の社員が1日当たりの歩数が3,000歩未満という状況でした。

コロナ禍以降はほとんどの社員がリモートで働いているため、このような状況になったのだと思います。

そこで、この状況を改善するための数値目標を全社員に共有した上で、「カロママ プラス」を活用したウォーキングイベントを開催しました。

結果、2021年には1日あたり3,000歩未満の社員を半減させることに成功しています。


また、2019年10月~2020年9月の1年間平均では14%の社員が所定労働時間を40時間(月間)超えていることが分かったため、この数字を減らせるように努めました。

具体的には、残業が多い社員自身とそのマネージャーに「労働時間の見える化」に取り組んでもらい、時間外労働が30時間を超えている場合には、社員とマネージャーが面談を実施。その上で業務量を調整することにしました。

それでも問題が解消しないような場合には、新たな人材を採用する等して、これらの課題解決に取り組みました。

結果として2020年10月~2021年7月の期間では、所定労働時間を40時間超えて働く社員の数を半減させることが出来ました。

他にも、オールフレックス制度を導入するなど、ワークライフバランスの向上を目指した制度導入や環境構築をすることで、長時間労働者の低減に努めています。

このように、効果的な「健康的な職場づくり」や「健康づくり」を実現するために、「健康課題を数値で把握し、優先順位をつけて取り組む」ことに特に力をいれて取り組んだ結果、2年連続でブライト500に認定されたのだと思います。


中小企業こそ、強みを活かした健康経営を

社内には立って仕事ができるスタンディングスペースも完備

最後に、中小企業が健康経営を推進するためにはどのような点がポイントとなるか教えていただけますか。

中小企業の場合ですと、健康経営推進における課題として挙げた通り、健康経営に使えるリソースが限られていることが多いと思います。

しかし、中小企業だからこそ取り組める健康経営の形があり、それは強みにもなるものだと考えて取り組んできました。

例えば、トップからの声掛けや情報の伝達スピード等は、中小企業だからこそ迅速な取組みが実現できます。

週に1回、全社員が集まる会議を開催したり、審議した内容を速やかに実行できるのも、中小企業ならではと言えます。

また、ポイントを付け加えるならば、先ほどお話した歩数や時間外労働の現状などの「課題を数値で、全社員に伝えること」と「目標を達成出来たら、社員に報告し、感謝も伝えること」の2つが重要だと考えています。全社員が共通認識と当事者意識をもって行動することが、成果につながると感じています。

このような取り組みを「その時だけ」のもので終わらせず、アップデートしていくことが健康経営の推進で最も大切だと考えます。

サンポナビ編集部

サンポナビ編集部

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