健康経営に活用できる助成金・補助金8選!メリットやデメリット、ポイントも解説
健康経営を推進するにあたり、助成金や補助金への申請を検討する企業も多いのではないでしょうか。健康経営に活かせる助成金や補助金として、職場環境の改善や出産・育児などの家庭生活の支援、高齢者雇用の支援に役立つ制度があります。
本記事では、健康経営に役立つ助成金や補助金を8つ紹介します。制度の概要について解説するのでぜひ活用の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.健康経営に必要な支援、42%が「補助金・助成金」と回答
- 1.1.助成金と補助金の違いは?
- 2.待遇・職場環境改善を支援する助成金4選
- 2.1.業務改善助成金
- 2.2.人材確保等支援助成金
- 2.3.働き方改革推進支援助成金
- 2.4.受動喫煙防止対策助成金
- 3.家庭生活との両立を支援する助成金2選
- 4.高齢者の雇用を支援する助成金・補助金2選
- 4.1.65歳超雇用推進
- 4.2.エイジフレンドリー補助金
- 5.健康経営の促進に助成金・補助金を活用するメリットやデメリット
- 5.1.メリット
- 5.1.1.返済義務がない
- 5.1.2.社会的信用の向上
- 5.1.3.社内体制を整えられる
- 5.2.デメリット
- 5.2.1.要件や期限が厳しい
- 5.2.2.手続きに手間がかかる
- 5.2.3.受給までに時間がかかる
- 6.健康経営の推進に活用できる助成金・補助金を導入する際のポイント
- 6.1.制度要件の確認
- 6.2.申請スケジュールの確認
- 6.3.投資資金の準備
- 7.助成金や補助金を活用して健康経営の推進へ
健康経営に必要な支援、42%が「補助金・助成金」と回答
健康経営を進めるなかで、多くの企業が助成金や補助金を活用しています。東京商工会議所が行った調査によると42.1%の企業が、健康経営に必要な支援として「補助金・助成金」を挙げました。
▼健康経営を実施するにあたり、必要だと思う支援
出典:健康経営に関する実態調査 |東京商工会議所
全体で2番目に必要とされていることから、助成金や補助金は健康経営の推進に欠かせない支援の1つと言えます。
助成金と補助金の違いは?
助成金の主な管轄は厚生労働省で、雇用や労働環境の改善を目的としています。補助金の主な管轄は経済産業省や自治体で、新規事業支援や地域振興などを目的としています。
助成金は基準を満たしていれば受給できる可能性が高い一方で、補助金は採択件数の上限が設定されているものが多く、倍率が高い場合は受給できない可能性があります。また、通年受け付けしているものが多い助成金に対して、補助金の公募期間はおおむね1週間〜1か月程度です。申請をする場合は早めに準備を進めましょう。
待遇・職場環境改善を支援する助成金4選
待遇・職場環境改善を支援する主な助成金として、次の4つを解説します。
- 業務改善助成金
人材確保等支援助成金
働き方改革推進支援助成金
受動喫煙防止対策助成金
ここでは、各助成金の概要を解説します。より詳しい情報を知りたい場合は、各省庁の公式ページをご覧ください。
業務改善助成金
業務改善助成金とは、生産性の向上を目的に設備投資等をする企業を支援するための制度です。投資内容としては、機械設備やコンサルティングの導入、人材育成、教育訓練などがあります。
また助成金を受給するためには、設備投資等を行うだけではなく、事業内最低賃金を一定額引き上げる必要があります。
参考:業務改善助成金|厚生労働省
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、労働環境の向上を図る事業主や事業協同組合などをサポートするための制度です。助成の対象や条件、内容に応じて次の9つのコースに分かれます。
- 雇用管理制度助成コース
介護福祉機器助成コース
中小企業団体助成コース
人事評価改善等助成コース
建設キャリアアップシステム等普及促進コース
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
外国人労働者就労環境整備助成コース
テレワークコース
なお、以上のなかで「雇用管理制度助成コース」と「人事評価改善等助成コース」については、令和4年4月1日以降、新規受付が休止されています。
参考:人材確保等支援助成金のご案内|厚生労働省
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進助成金とは、働き方改革に取り組む中小企業を支援するための制度です。職場環境の改善や有給休暇取得の促進などでかかった費用の一部が助成されます。
対象事業者の要件に応じて、次に示す5つのコースが準備されています。
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 労働時間適正管理推進コース
- 団体推進コース
- 適用猶予業種等対応コース
また、各都道府県労働局には、「働き方・休み方改善コンサルタント」が配置されています。労働時間や有給取得等に関するお悩みがある際には、近くの都道府県労働局(雇用環境・均等部(室))に相談してみましょう。
受動喫煙防止対策助成金
受動喫煙防止対策助成金とは、受動喫煙の防止に取り組む中小企業をサポートするための制度です。受動喫煙の防止に必要な施設や設備を導入した際に、かかった費用の一部が助成を受けられます。
令和5年度の申請受付は終了しているので、令和6年度の申請受付については厚生労働省の情報を待ちましょう。
参考:受動喫煙防止対策助成金|厚生労働省
家庭生活との両立を支援する助成金2選
家庭生活との両立を支援するための助成金として、くるみん助成金と両立支援等助成金について解説します。
くるみん助成金
くるみん助成金とは、家庭を持つ従業員が働きやすい雇用環境を整える中小企業を支援する制度です。
助成金を受け取るためには、事前に「くるみん認定・くるみんプラス認定」もしくは「プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定」を受ける必要があります。
また助成の対象となる事業内容は次の通りです。
- 労働者の育児休業などの取得を促進するための取組
- 労働者の子育てを支援するための取組
- 労働者の業務負担の軽減や所定外労働の削減などを図るための取組
- その他労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な取組
令和5年度の申請受付は終了しているので、令和6年度の申請受付については厚生労働省の情報を待ちましょう。
参考:くるみん助成金ポータルサイト|こども家庭庁
両立支援等助成金
両立支援等助成金とは、従業員がライフスタイルに合わせて継続して働ける職場環境づくりを目指す企業を支援する制度です。仕事とプライベートを両立できるような制度を導入すると、助成を受けられます。
サポート対象の従業員に応じて、次の5つのコースに分かれます。
参考:仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ|厚生労働省
高齢者の雇用を支援する助成金・補助金2選
高齢者の雇用を支援するための助成金・補助金として「65歳超雇用推進」と「エイジフレンドリー補助金」が挙げられます。
65歳超雇用推進
65歳超雇用推進助成金とは、企業が高齢者の雇用推進に取り組んだ際に、かかった費用の一部を助成するための制度です。実施した施策に応じて、次の3つのコースに分かれます。
- 65歳超継続雇用促進コース
- 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
- 高年齢者無期雇用転換コース
参考:65歳超雇用推進助成金|厚生労働省
エイジフレンドリー補助金
エイジフレンドリー補助金とは、高齢者が安心して安全に働けるように、労働災害防止対策や健康保持増進に取り組む中小企業をサポートするための制度です。取り組みの内容に応じて、次の2つのコースに分かれます。
- 高年齢労働者の労働災害防止コース
- コラボヘルスコース
令和5年度の申請受付は終了しているので、令和6年度の申請受付については厚生労働省の情報を待ちましょう。
参考:エイジフレンドリー補助金|厚生労働省
健康経営の促進に助成金・補助金を活用するメリットやデメリット
健康経営の促進に助成金や補助金を活用するメリットやデメリットについて解説します。公的支援を受けるか検討している場合は、参考にしてください。
メリット
助成金や補助金を活用する場合、次のメリットが考えられます。
- 返済義務がない
- 社会的信用が向上する
- 社内体制を整えられる
返済義務がない
助成金や補助金には返済の義務がありません。
新規事業を始める際に自己資金だけでは費用を賄えない場合、一般的に銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける必要があります。融資を受けた場合は、利子をつけて返済する必要があります。
一方で助成金や補助金を利用すると、返済義務を課されることなく、事業の推進に役立つ施策を実施するための費用を確保することが可能です。健康経営の推進に必要な予算を確保できない企業にとっては、大きなメリットとなるでしょう。
社会的信用の向上
助成金や補助金を受けるためには、書類を役所に提出して審査や面接を受ける必要があります。書類審査や面接審査を通過すると、助成金や補助金の受給が可能です。各種審査を通すことで役所が認めた事業を進めることになり、企業の社会的信用の向上に繋がります。
社内体制を整えられる
助成金や補助金への申請を進める過程で、就業規則や出勤簿、労使協定書などのさまざまな書類を提出する必要があります。書類を準備する際は社内体制の整備が求められます。つまり、助成金や補助金を申請すること自体が社内体制の整備に繋がるのです。
デメリット
助成金や補助金を活用するデメリットとして、次の事項が考えられます。
- 要件や期限が厳しい
- 手続きに手間がかかる
- 受給までに時間がかかる
要件や期限が厳しい
助成金や補助金には、それぞれ厳しい要件があり申請期限も決まっています。申請までに準備すべき項目も多いため、計画的に進めなければ支援を受けられない可能性があります。
手続きに手間がかかる
助成金や補助金を申請するためには、書類を提出したり面接を受けたりするために役所に何度も足を運ぶ必要があります。支援を受けることが決まった後も、事務処理や事後報告などに手間がかかることがあります。
受給までに時間がかかる
助成金や補助金は受給までに時間がかかる点もデメリットです。申請後に審査を受ける必要があるため、長い場合は受給が決定するまでに数ヵ月かかることもあります。
また事業を進める際には、事前に必要な資金を立て替えておき、後日清算することになります。事業を進める時点では助成金や補助金を受けられないため、資金が不足する場合は融資が必要です。
健康経営の推進に活用できる助成金・補助金を導入する際のポイント
健康経営の推進に活用するためには、次のポイントに従って助成金や補助金を導入するとよいでしょう。
- 制度要件の確認
- 申請スケジュールの確認
- 投資資金の準備
制度要件の確認
まずは助成金や補助金の制度要件を確認して、自社の取り組みが要件に合致しているかチェックしましょう。自社の取り組みが制度の趣旨や目的から外れていると、社会的意義の高い取り組みでも不採択となる可能性が高くなります。
申請スケジュールの確認
助成金や補助金には、申請期限が設けられています。申請の際には、さまざまな書類の提出を求められるため、申請期限に対して余裕を持ってスケジュールを立てましょう。書類の不備や誤りによる再提出を避けるためにも、見直しのための時間も確保して申請に臨むとよいでしょう。
投資資金の準備
助成金や補助金を受けると、事業にかかった費用の半分や3分の1など一定の割合をサポートしてもらえます。費用の全額を支援してもらえるわけではないため、企業がある程度の投資資金を準備する必要があります。
また助成金や補助金は事業実施後に後払いで支給されることが多いです。事業を実施する段階では助成金や補助金が手元にないため、実際に事業を進める場合は経費の全額を自社で準備する必要があります。
助成金や補助金を活用して健康経営の推進へ
健康経営を推進するためには、助成金や補助金を活用すると同時に、日頃から産業保健や従業員のメンタルヘルスケアに取り組むことが重要です。必要に応じて助成金や補助金を活用しつつ、各事業所内でも健康経営の推進に役立つ取り組みを実践しましょう。
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