企業における現状と対策は?「過労死等防止対策白書」の要点まとめ

最終更新日:2021年12月8日

「過労死等防止対策白書」の令和3年版が厚生労働省より公表されました。

過労死等防止対策白書は、職場における労働の現状や過労死・メンタルヘルス不調・労災等の発生状況とあわせて、企業における対策の実施率等を調査したものです。

本記事では、各種結果のトピックをまとめて紹介いたします。

目次[非表示]

  1. 1.2020年:過労死等の労災認定は「精神障害」が増加
    1. 1.1.増える「精神障害」の労災認定
    2. 1.2.自殺事案が最も多いのは「月曜日」
  2. 2.時期別に見る2020年の肉体的・精神的負担の推移
    1. 2.1.2020年、医業等で大幅に増加した「肉体的負担」
    2. 2.2.2020年4月~5月では、精神的負担も大きな変動が発生
  3. 3.企業における過重労働・メンタルヘルス不調の現状と対策
    1. 3.1.過重労働を防ぐ勤務間インターバル制度の導入率は増加
    2. 3.2.メンタルヘルス不調対策に取り組む企業は増えてきている
    3. 3.3.企業、従業員個人それぞれのメンタルヘルス不調対策


2020年:過労死等の労災認定は「精神障害」が増加

増える「精神障害」の労災認定

民間雇用労働者の労災補償の認定・支給件数から過労死等の発生状況を見てみると、近年では「脳・心臓疾患」の労災は減少の傾向にあるものの「精神障害」は増加傾向にあることがわかります。

「脳・心臓疾患」の労災認定・支給決定件数では、2011年では310件だった件数が、2020年では1194件と、10年間で緩やかに減少してきました(下図)。

出典:厚生労働省「令和2年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


一方で「精神障害」の労災認定・支給決定件数は増加傾向にあり、2020年では608件と過去10年間で最多となっており、看過できない状況であります(下図)。

出典:厚生労働省「令和2年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


自殺事案が最も多いのは「月曜日」

続いて、自殺に関する労災認定についてです。

自殺事案(未遂を除く)についても調査が行われており、自殺の時期を曜日別にみると月曜日が87件(17.5%)と最も多く、また、発病から自殺・死亡までの日数では6日以下が235件(47.3%)で最多となっています。

そして、労災認定の疾病に対して医療機関の受診歴がないものは179件(64%)。「極度の長時間労働」があった事案に関しては、受診歴なしが67件(76.1%)という結果でした。

労災の発生は従業員本人のみならず、企業へも大きなダメージが発生しますので、企業においては相談先を案内することや、産業医等の専門スタッフと連携し、適切な対策が求められます。

出典:厚生労働省「令和2年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


時期別に見る2020年の肉体的・精神的負担の推移

2020年、医業等で大幅に増加した「肉体的負担」

まずは〈肉体的負担〉の推移についてみてみましょう。

肉体的負担が「非常に大きい」「大きい」と回答した労働者の割合は、男性よりも女性が多く、すべての業種で緩やかに上昇していました。

特に2020年には、新型コロナウイルスの流行があったことから、多くの業種に影響があり、特に4月~5月、9月~10月の間で大きな変動が発生しています。

例えば、医療業や社会保険・社会福祉・介護業は、他の業種と比較して平時より高い水準にありましたが、2020年の4月~5月では特に上昇していることがわかり、同年9月~10月にかけては運送業に急激な上昇がみられます。

一方で、宿泊・飲食サービス業や生活関連サービス業においては2020年4月~5月にかけて急激な下降をしており、社会の情勢が反映されています。

出典:厚生労働省「令和2年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


2020年4月~5月では、精神的負担も大きな変動が発生

続いて、精神的負担について「非常に大きい」「大きい」と回答した労働者の割合をみてみます。

精神的負担の増減についても同様に、負担が大きいと感じているのは男性よりも女性が多く、2020年4月~5月にかけて大きく上昇し、9月~10月には一時低下しましたが、2021年3月には再び上昇する結果となっています。

また、業種別にみると医療業、社会保険・社会福祉・介護業が4月~5月で特に上昇しており、9月~10月に低下したものの、2021年3月には再度上昇する結果となりました。

出典:厚生労働省「令和2年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


企業における過重労働・メンタルヘルス不調の現状と対策

過重労働を防ぐ勤務間インターバル制度の導入率は増加

勤務間インターバル制度の認知度は年々上昇しており「制度を知らない」と回答した企業は全体の10.7%という結果でした。

勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までの間に、一定以上の休息時間を設けるというもので、過重労働対策として導入する企業も増えています。

導入企業の推移については2018年で1.8%だったものが、2020年で4.2%と増加しているのです。

また、有給休暇の取得率は2019年の52.4%から、2020年では56.3%へと、3.9ポイント上昇しています。

この背景には、2019年4月より、年間5日の年次有給休暇の時期指定が事業主に義務付けられたことが背景にあるとされます。


メンタルヘルス不調対策に取り組む企業は増えてきている

メンタルヘルス不調の対策に取り組んで組んでいる事業場の割合は、2020年の59.2%よりも上昇し61.4%となりました。

政府が目指す目標値は80%。メンタルヘルス不調対策の重要性が浸透していることがわかる一方、3割弱の企業では活動に取り組んでいないという実態があります(図)。

また、事業場の規模別に見てみると、従業員数1,000名以上の事業場では98.2%もの事業場でメンタルヘルス不調対策が実施されているのに対し、従業員数10~29名の小規模事業場では53.5%という割合にとどまっています。


企業、従業員個人それぞれのメンタルヘルス不調対策

企業におけるメンタルヘルス不調対策の中心的活動となるのがストレスチェック。

ストレスチェックを通じストレス状態の把握することはもちろん、実施後の結果を活用し、職場改善に努めることが大切になります。

2020年の調査では、66.9%以上の事業場にてストレスチェックの結果を集団分析・活用しており、これは政府の目標値である60%を上回る数値となっています。

また、従業員個人が仕事上の悩み・ストレスについて「相談先がある」と回答したのは69.2%。これは、前回(2018年)の調査における73.3%から低下しており、新型コロナウイルスの流行による働き方の変化などが影響しているものと予想されます。

これらのことからも、企業における適切なメンタルヘルス不調対策の体制を整備することは、今後も重要な要件となります。

サンポナビ編集部

サンポナビ編集部

企業の産業保健を応援する『サンポナビ』編集部です。産業医サポートサービスを提供している株式会社エムステージが運営しています。 産業医をお探しの企業様、ストレスチェック後の高ストレス者面接でお困りの企業様は、ぜひお問い合わせボタンからご相談ください。

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