企業における現状と対策は?令和4年版「過労死等防止対策白書」の要点


最終更新日:2022年11月30日

「過労死等防止対策白書」の令和3年版が厚生労働省より公表されました。

過労死等防止対策白書は、職場における労働の現状や過労死・メンタルヘルス不調・労災等の発生状況とあわせて、企業における対策の実施率等を調査したものです。

本記事では、各種の結果のトピックをまとめて紹介いたします。

目次[非表示]

  1. 1.令和4年版の「過労死等防止対策白書」から読む労働時間の推移
    1. 1.1.1年間の総労働時間は依然として減少傾向
    2. 1.2.新型コロナウイルスの流行が労働時間に与えた影響
  2. 2.過労死等の労災件数は脳・心臓疾患が減少し、精神障害が増加
    1. 2.1.「脳・心臓疾患」に関する労災支給決定の件数は減少
    2. 2.2.令和3年度で増えた「精神障害」の労災認定
    3. 2.3.勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者の数は増加
  3. 3.企業における過重労働・メンタルヘルス不調の現状と対策
    1. 3.1.過重労働を防ぐ勤務間インターバル制度の導入率は増加
    2. 3.2.メンタルヘルス不調対策に取り組む企業は昨年比で減少


令和4年版の「過労死等防止対策白書」から読む労働時間の推移

1年間の総労働時間は依然として減少傾向

働く人の1年間の労働時間について、近年では緩やかな減少傾向にあります。

令和元年では1人あたりの労働時間は年間1,669時間でしたが、令和2年では1,621時間と40時間以上も減少しています。

なお、令和3年では1,633時間と増加したものの、平成20年代の年間1,700時間台と比べ大幅に減少しているといえます。

また、所定外労働時間については令和2年に引き続き120時間を下回る結果となりました。

出典:厚生労働省「令和3年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


新型コロナウイルスの流行が労働時間に与えた影響

令和3年版の過労死防止白書では、新型コロナウイルスの流行が労働時間に与えた影響についても公表しています。

「全業種」の全ての調査期間では1~2割程度の雇用者が「勤務日数や労働時間の減少(休業を含む)」と回答。

また、初めて緊急事態宣言が発令された期間である令和2年5 月の時点と、令和4年3月とを比較すると、休業を含む勤務日数や労働時間が減少したと回答した数は半数程度に減少しています。

中でも、飲食店・宿泊業では、労働時間が減少したことがわかります。

出典:厚生労働省「令和3年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


過労死等の労災件数は脳・心臓疾患が減少し、精神障害が増加

「脳・心臓疾患」に関する労災支給決定の件数は減少

民間雇用労働者の労災補償の認定・支給件数から過労死等の発生状況を見てみると、近年では「脳・心臓疾患」の労災は減少の傾向にあるものの「精神障害」は増加傾向にあることがわかります。

「脳・心臓疾患」の労災認定・支給決定件数では、平成23年頃では300件を超えていましたが、2021年では172件と、約10年間で緩やかに減少してきました(下図)。

脳・心臓疾患の労災支給決定件数2021年

出典:厚生労働省「令和3年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


令和3年度で増えた「精神障害」の労災認定

一方で「精神障害」の労災認定・支給決定件数は増加傾向にあり、令和3年では629件で過去最多となっており、看過できない状況であります(下図)。

また、精神障害の労災認定・支給決定件数を職種別に見てみると、もっとも多い職種は事務従事者(67件)、次いでサービス職業従事者(47件)、販売従事者(44件)となっています。

そして、年齢層では40~49 歳の労災請求件数が最多となっています。

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出典:厚生労働省「令和3年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者の数は増加

勤務問題を原因とした自殺についてはほぼ横ばいといえる件数でしたが、「仕事疲れ」を原因とした自殺が547件発生しており、前年度より増加する結果となっています。

自殺など過労を原因とした労災の発生は従業員本人のみならず、企業へも大きなダメージが発生します(下図)。

よって、企業においては勤務の悩みに関する相談先を案内することや、産業医等の専門スタッフと連携するなど、適切な対策が求められます。

出典:厚生労働省「令和3年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」


企業における過重労働・メンタルヘルス不調の現状と対策

過重労働を防ぐ勤務間インターバル制度の導入率は増加

勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までの間に、一定以上の休息時間を設けるというもので、過重労働対策として導入する企業も増えています。

導入企業(就業規則又は労使協定等で定めている)の推移については、令和3年で 4.6%と、前年の 4.2%から 0.4 ポイントの増加。

一方で、勤務間インターバルの「制度について知らない」と回答した企業は19.2%。

また、有給休暇の取得率については年々上昇しており、令和2年では56.3%でしたが、令和3年では56.6%と、0.3ポイント上昇しました。

なお、政府は令和7年までに70%以上となることを目指していますので、今後も企業においては有給休暇の取得率を向上させる施策が必要とされています。

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メンタルヘルス不調対策に取り組む企業は昨年比で減少

仕事や職業生活に関するストレスを感じている人は53.3%でした。

また、メンタルヘルス不調対策に取り組んで組んでいる事業場の割合は令和3年にて59.2%。令和2年が61.4%でしたので減少しています。

政府が目指す目標値は80%。メンタルヘルス不調対策の重要性が浸透していることがわかる一方、3割弱の企業では活動に取り組んでいないという実態があります。

なお、取組みについて事業場の規模別に見てみると、従業員数1,000名以上の事業場では98.6%もの事業場でメンタルヘルス不調対策が実施されているのに対し、従業員数10~29名の小規模事業場では49.5%という割合にとどまっています(図)。

出典:厚生労働省「令和3年度我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」

上述した労働時間や労災、メンタルヘルス不調といったテーマのほか、過労死等防止白書には様々な調査結果があり、それぞれが多角的に分析されています。

各種の調査結果は日頃の衛生活動や自社の体制を見直すきっかけにもなりますので、ぜひとも参考にしてみてください。


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