従業員10人以上になったら?「衛生推進者・安全衛生推進者」選任義務の要点

最終更新日:2023年4月20日

衛生管理者や安全管理者の選任が義務付けられるのは、従業員が50人以上の事業場です。また、従業員が10人以上50人未満の場合は「衛生推進者」や「安全衛生推進者」を選任しなければなりません。

本記事では、衛生推進者・安全衛生推進者の選任義務と、その選任方法や業務内容などをまとめています。選任を控えている企業担当者の方は確認しておきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.衛生推進者・安全衛生推進者の選任義務
    1. 1.1.従業員が10人を超えたら衛生推進者・安全衛生推進者の選任義務あり
      1. 1.1.1.衛生推進者・安全衛生推進者の選任に関する業種・規模のルール
  2. 2.衛生推進者・安全衛生推進者の選任届・報告のルール
    1. 2.1.衛生推進者・安全衛生推進者は14日以内に選任する。届出の必要は無し
    2. 2.2.経歴や経験がある人や講習修了者、資格取得者から選任する
  3. 3.衛生管理者の担当業務について知識を深める


衛生推進者・安全衛生推進者の選任義務

従業員が10人を超えたら衛生推進者・安全衛生推進者の選任義務あり

労働安全衛生法では、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場で、「衛生推進者」か「安全衛生推進者」を選任することが義務付けられています(※労働安全衛生法 第十二条の二)

衛生管理者や安全管理者の選任が義務付けられていない、中小規模事業所の安全衛生水準の向上を図ることが目的です。

安全管理者の選任対象となる業種では安全衛生推進者、安全管理者の選任対象ではなく、衛生管理者の選任のみが対象となる業種では衛生推進者を選任する必要があります。

事業場の従業員が10人以上50人未満の場合、安全衛生推進者を選任しなければならない業種は以下のものです。

この業種に当てはまらない場合は、事業場の従業員が10人以上50人未満なら、衛生推進者を選任する必要があります。

※労働安全衛生法 第十二条の二(安全衛生推進者等)

事業者は、第十一条第一項の事業場及び前条第一項の事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める規模のものごとに、厚生労働省令で定めるところにより、安全衛生推進者(第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生推進者)を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除くものとし、第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当させなければならない。


衛生推進者・安全衛生推進者の選任に関する業種・規模のルール

業種
従業員10人以上50人未満
従業員50人以上
A
安全衛生推進者
安全管理者
衛生管理者
A以外の業種
衛生推進者
衛生管理者


A:林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業



衛生推進者・安全衛生推進者の選任届・報告のルール

衛生推進者・安全衛生推進者は14日以内に選任する。届出の必要は無し


衛生推進者と安全衛生推進者は、従業員10人以上になってから14日以内に選任し、選任後は労働者に周知するために氏名を掲示しなければなりません。

衛生管理者や安全管理者は、労基署に選任を報告する必要がありますが、衛生推進者と安全衛生推進者は選任報告の義務はありません

安全・衛生業務について権限と責任がある人から指示を受けて、下記の業務を担当します。

安全衛生推進者の場合、業務は以下のものが挙げられます。

  1. 労働者の危険または健康障害を防止するための措置に関すること。
  2. 労働者の安全または衛生のための教育の実施に関すること。
  3. 健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること。
  4. 労働災害防止の原因の調査及び再発防止対策に関すること。

また、衛生推進者については、このうち衛生にかかる業務に限ります。


経歴や経験がある人や講習修了者、資格取得者から選任する


安全衛生推進者、衛生推進者は、次の経歴・経験、講習修了者、資格を持つ人から選任します。

安全衛生推進者の場合、以下から選任する必要があります。

1. (経験・経歴)大学、高等専門学校卒業者で1年以上安全衛生の実務に従事している者

2. (経験・経歴)高等学校、中等教育学校卒業者で3年以上安全衛生の実務に従事している者

3. (経験・経歴)5年以上、安全衛生の実務に従事している者

4. (有資格者)労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等の資格を有する者

5. (講習修了者)都道府県労働局長の登録を受けたものが行う講習修了者

衛生推進者の場合も基本的には同様ですが、1~3について、「安全衛生の実務に従事しているもの」が「衛生の実務に従事している者」になります。

安全衛生または衛生に関する実務に従事した経験のない人や、期間が足りない人で、かつ有資格者でもない人を選任する場合には、5の講習を修了する必要があります。

講習は学歴・経験などは不問で、誰でも受講が可能です。

衛生推進者、安全衛生推進者について解説しました。

所属する事業場の規模や業種に合わせて、衛生推進者や安全衛生推進者、衛生管理者や安全衛生管理者を選任し、職場の安全衛生に取り組みましょう。


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