「健康情報取扱規程」とは?策定内容・周知・取り扱い方法の原則とポイント

2019年、企業等には健康情報取扱について規程することが義務化されました。

本記事では、健康情報取扱規程とは何か?という初歩の部分から、策定する規程の内容、取り扱う担当者や原則といった内容を紹介します。

人事の方はチェックしておきましょう。


健康情報取扱規程とは?策定と周知のポイント

健康情報取扱規程とは、企業と従業員間で定めるルール

健康情報取扱規程とは、働く人の健康情報の取り扱いについて、企業・従業員の間で定めるルールのこと。

2019年、働く人の健康情報の取扱いをルール化することが定められました。

事業者(企業)は従業員の健康情報を適切に収集し、健康確保のために有効活用することが求められています。

一方で、収集した健康情報をもとにして、従業員が不利益を被らないようにする必要があります。

例えば異動や昇格といった従業員が人事において不利益な取り扱いを受けることを避けなければなりません。

また、健康情報については分類があり、その分類に応じて取扱者を定めることが推奨されていますので、従業員が不安を抱くことなく安心して自分の健康に関する情報を提供できる環境を整えることが必要です。


労使間で協議の上、健康情報取扱規程を策定・周知すること

健康情報取扱規程は、事業者や人事担当者の判断のみで策定することはできません。

必ず労働者と使用者(従業員)との間で、健康情報の取扱いについて内容を協議し、その上で策定することが求められています。

具体的には、衛生委員会や安全衛生委員会といった場を活用して、協議することが一般的です。

また、協議した内容は従業員への周知を図り、就業規則等に記載することが望ましいとされています。

周知の方法については、社内イントラネットへの掲載やパンフレットの配布、掲示板への掲示等があります。

▼従業員が50名未満の事業場ではどう協議する?

従業員が50名未満の事業場等で衛生委員会が設置されていない場合には、労働者の意見を聴くための機会等を設置・活用し、労使間で協議を行う必要があります(協議あるいは規定に関する単位は事業場ではなく、企業単位で行うことも可能とされています)。


出典:厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」


健康情報取扱規程にて策定する内容

前述したように、事業者が健康情報を取り扱目的は、従業員の健康確保・管理を実施し、安全配慮義務を履行するためです。

よって、健康情報の取扱規程では、労働者が不安を抱かないよう、「取扱う目的」と「取扱い方法」が分かりやすく、かつ具体的に明示する必要があります。


●健康情報取扱の目的(例)

健康情報を取り扱う目的については、次のものが挙げられています。

健康診断の結果をはじめ、主に従業員の健康管理や配慮に必要なものあります。

  • 健康診断やストレスチェックの結果、長時間労働者等に対する医師による面接指導やその事後措置の実施
  • 疾病や傷病のある労働者に対する業務上の措置の検討、実施
  • 治療と仕事の両立支援 等


●健康情報等の取扱い方法

健康情報の取扱い方法については、収集・保管・使用・加工・消去に分けられ、内容については次のようになっています。

収集:健康情報等を入手すること(健康診断結果の収集だけではなく、面談等により入手、記録することも含む。)

保管:入手した健康情報等を保管すること(紙媒体での保管、電子媒体での保存の両者を指す。)

使用:健康情報等を取り扱う権限を有する者が、健康情報等を(閲覧を含めて)活用すること、また第三者に提供すること(紙媒体で入手した健康情報等をデータ化する場合も「使用」に含まれる。)

加工:収集した健康情報等の他者への提供に当たり、当該健康情報等の取扱いの目的の達成に必要な範囲内で使用されるように変換すること(例えば、健康診断の結果等をそのまま提供するのではなく、所見の有無や検査結果を踏まえ、医師の意見として置き換えることなど。)

消去:収集、保管、使用、加工した情報を削除するなどして使えないようにすること


健康情報の分類・原則と取扱い担当者

健康情報の3分類と取扱いの原則

健康情報は大きく3つに分類され、労働安全衛生法令に基づきそれぞれに取扱いの原則が設けられています。一つずつ確認しておきましょう。

分類①:事業者が直接取り扱うこととされており、労働安全衛生法令に定める義務を履行するために、業者が必ず取り扱わなければならない健康情報 等

→原則:労働安全衛生法令にて収取する必要があり、事業者が直接取り扱う健康情報


分類②事業者が労働者本人の同意を得ずに収集することが可能であるが、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用することが適当である健康情報 等

→原則:事業者が直接把握する必要はなく、担当者を定めて健康情報を取り扱う


分類③:労働安全衛生法令において事業者が直接取り扱うことについて規定されていない健康情報。そのため、あらかじめ労働者本人の同意を得ることが必要であり、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用することが必要であるもの 等

→原則:労働者本人の同意を得て収集し、担当者を定めて取り扱う健康情報

▼健康情報の主な例

・健康診断の結果、医師等から聴取した意見、それに基づく事後措置、保健指導の内容

・長時間労働者への医師による面接指導の結果、医師から聴取した意見、事後措置の内容

・ストレスチェックの結果、それに基づく医師による面接指導の結果、医師から聴取した意見、それに基づく事後措置の内容

・健康相談の結果

・がん検診の結果

・職場復帰のための面談の結果

・治療と仕事の両立支援等のための医師の意見書

・通院状況等疾病管理のための情報

・産業保健業務従事者が労働者の健康管理等を通じて得た情報

・上記のほか、任意に労働者等から提供された本人の病歴、健康に関する情報 等


出典:厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」


健康情報を取り扱う担当者とその範囲を定める

健康情報の取扱いを担当するのは、産業医等の産業保健スタッフをはじめ、社長や役員といった人事部門の長や事務担当者、各部部署の管理監督者等が挙げられます。

産業医や保健師は情報保護に関する守秘義務を課されていますが、その他の企業担当者等には守秘義務がありません。

よって、それぞれの担当者が取り扱うことのできる情報の範囲についても、衛生委員会などの場で協議・検討を行った上で策定します。

また、健康診断やストレスチェックの実施を外部に委託している場合には、自社と委託先との間で健康情報の取扱いに関する安全管理措置を講じてもらうよう、契約を締結する必要があります。


健康情報を取り扱う人
具体例
人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者
社長、役員、人事部門の長
産業保健業務従事者
産業医(専属・嘱託)、保健師・看護師、衛生管理 者、衛生推進者(安全衛生推進者)
管理監督者

労働者本人の所属長

人事部門の事務担当者
人事部門の長以外の事務担当者

以上、健康情報取扱規程に関する概要を紹介しました。

この他にも、取扱規程については細かな協議や策定が必要になりますので、厚生労働省のホームページ等を確認して準備しておきましょう。



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