「コロナショック」による精神疾患の急増に、企業が備えておくことの大切さ

「リーマンショック」が多くの失業者を生み出したことは記憶に新しいと思いますが、それと同時に精神疾患の患者数も急増しています。

そして、現在では「コロナショック」と呼ばれる経済状況の悪化が進行しており、そのダメージは「リーマンショックの3倍」とも言われています。

企業が「ウィズコロナ時代」を生き抜くためのヒントとなるメンタルヘルスケアについて紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.リーマンショック後に増加した「精神疾患」
    1. 1.1.新型コロナの拡大は、リーマンショック以上の経済状況悪化
    2. 1.2.経済状況の悪化と関連する「精神疾患」の増加
  2. 2.リーマンショックから予測してみる「コロナショック」がメンタルヘルスに与えるダメージ
    1. 2.1.リーマンショック後、精神疾患の患者数はどのように増えたか
    2. 2.2.コロナショックが企業と労働者のメンタルヘルスに与えるダメージ
  3. 3.「ウィズコロナ時代」で変化が求められている産業保健の役割
    1. 3.1.コロナショックが「リーマンショックの3倍」であるならば
    2. 3.2.「ウィズコロナ時代」に求められているメンタルヘルスケア

リーマンショック後に増加した「精神疾患」

新型コロナの拡大は、リーマンショック以上の経済状況悪化

2020年4月23日、政府が発表した「月例経済報告」によれば、新型コロナウイルス感染症の影響により経済状況が悪化しており、日本国内の景気判断は2か月連続での下方修正となりました。

経済状況は極めて厳しい状況にありますが、この月例経済報告で「悪化」が示されたのは、2009年(平成20年)のリーマンショック以来です。

そして、先日には首相から「リーマンショック時を上回る規模の緊急経済対策の策定」が表明されたこともあり「コロナショック」のダメージの大きさがうかがえます。

企業はこれからやってくる「リーマンショック以上」の大きな波を乗り越えることが求められているのです。


経済状況の悪化と関連する「精神疾患」の増加

経済活動の鈍化によって起こることは、失業者が増加だけでなく、精神疾患も増加することがわかっています。

連日報道されているニュースでは、コロナショックが経済に与えるダメージは「リーマンショックの3倍以上」とも伝えています。

また、コロナショックがリーマンショックと大きく異なる部分は、感染症の拡大が原因にあるという点でしょう。

つまり、企業と労働者は、失業や廃業といった不安のみならず「新型コロナウイルスに感染してしまうのではないか」という不安や、テレワークなどの働き方の変化に関する悩みも抱えているという状況です。

この状況はメンタルヘルスにも大きなダメージを与えることが想定されます。

リーマンショック後には精神疾患の件数が急増しましたが、今回のコロナショックの被害も相当なものになることが考えられています。


リーマンショックから予測してみる「コロナショック」がメンタルヘルスに与えるダメージ

リーマンショック後、精神疾患の患者数はどのように増えたか

厚生労働省の障害保健福祉部が作成した「患者調査」によれば、リーマンショック以前の平成17年では、精神疾患の件数は302.8万人でした。

そして、リーマンショックが起こった後の平成20年では323.3万人となり、20万人以上の増加が確認されています。

その後、東日本大震災の発生した平成23年では320.1万人と微減になりましたが、平成26年では392.4万人と急増しています。

単純な比較はできませんが、災害や景気変動といった「有事」の後に精神疾患の件数が増加していることがわかります。


コロナショックが企業と労働者のメンタルヘルスに与えるダメージ

最近では「コロナ鬱」や「コロナ疲れ」という言葉も目にするようになってきました。

新型コロナウイルスの感染症の拡大によって「時差出勤」「テレワーク」の運用など、われわれの働き方とライフスタイルには大きな変化が訪れたことが原因と考えられます。

そして、海外では家庭内暴力が問題になるなど、コロナショックがわれわれのメンタルヘルスに大きなダメージを与えている状態です。

しかし、企業にとって従業員はかけがえのない存在であり、事業継続には労働者の力が不可欠です。

このような状況であるからこそ、衛生担当者や人事、産業保健スタッフが連携し、従業員のメンタルヘルスをケアすること。そして、精神疾患を予防することが重要になるでしょう。


「ウィズコロナ時代」で変化が求められている産業保健の役割

コロナショックが「リーマンショックの3倍」であるならば

新型コロナウイルス感染症の拡大による経済悪化がリーマンショックの3倍であるとすれば、同時に変化する失業者の数や、精神疾患の数は膨大なものになってしまいます。

可能な限りその数を減らすためには、労働者それぞれがメンタルヘルスのセルフケアを行えるようになること。

そして、企業は適切なセルフケアの方法を伝えるだけでなく、管理職や産業医などが連携し、さまざまな角度から支援することが求めらることになります。


「ウィズコロナ時代」に求められているメンタルヘルスケア

昨今の状況では、産業保健活動を行うことがままならない企業も多いと考えられます。

しかし、事業が継続しているのであれば、産業保健機能も維持する必要があります。

具体的な方法については、先日公開した精神科専門医 吉野聡先生へのインタビュー記事「〈精神科医に聞いた〉企業と産業医はテレワーク社員の「コロナ鬱」をどうケアすべきか」に記載していますが、今後はICTなどを活用した産業保健活動に注目が集まるでしょう。


新型コロナウイルス感染症の収束まで、まだ時間がかかるといわれています。

そして、リーマンショック後の精神疾患の患者数が年々増加していることも考慮すれば、長い時間をかけて、その時々に対応したメンタルヘルスの支援が必要になります。

また、今後「ウィズコロナ時代」の到来によって、産業保健の形も変化していくことが予想されます。

日々変化していく状況の中、事業継続をしていくためには、適切なアドバイスができる産業医の存在が大きな存在になるでしょう。


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